黄色い悲鳴の中、翔太はズンズンと進んでゆく。

翔太は身長178センチメートルで、学園でも割と高い方。そのため必然的に足も長い。


そんな長い足であるため、歩幅はあたしよりも随分大きく、あたしは追いつくために小走りになるしかなかった。


「ちょ、ちょっと待ってよ!」

「……」

あたしの必死の訴えは、どうやら長身の翔太に届かないらしい。

完全に無視される。


しかも表情はさっきと何一つ変わっていない。

この氷の王子様は…一体何考えているんだろう?


予測不可能。

そんな言葉があたしの頭によぎる。


ふと、あたしの手首をつかんでいる翔太の手が見えた。

男の人らしい、あたしよりも大きくて安心感のある手。


翔太が今あたしの手首を掴んでる。

そう思うと何だか嬉しくて、心拍数が飛び跳ねるように加速する。


それと同時に疑問が生まれる。


どうして、翔太はあたしの手首を掴んでいるんだろう?


女の子達にイラついていて何処かに行きたかったのならたのなら、翔太一人で行けば良かったのに…


それに翔太はかなりの女嫌い。それなのに何であたしを道連れにしたの?

そりゃ、あたしとしましては、翔太と一緒にいることができて嬉しいのだけれども!


もっもしかして、両想い…⁉︎

いやいや、そんなのあり得ない。

都合良く考えすぎだって。

冷静になれ由良よ。


じゃあ…何で?


あたしの頭の中では考えが途絶えることがなかった。

グルグルと疑問が頭の中で踊っている。