「…超うまい…」

「……」


おにぎり片手に感嘆の声をあげる雅人と、やはり黙ったままの翔太。

「美味しい!」

美玲も言ってくれた。


「そうかな?良かった」

どういう反応とは言え、みんなに美味しいって言ってもらえて良かった。


「由良、今度料理教えて!」

「いや、教えなくても美玲は料理上手でしょ?」

「そんなことないわよ。それに由良みたいに上手に作ってみたいもの。ねぇいいでしょ?」


「…雅人のために?」

あたしが笑顔で聞くと、

「由良~!」

美玲は顔を真っ赤にした。


「なんだ?どうした?」

雅人が聞いてきたので、ますます美玲の顔は真っ赤になった。

その様子がとっても可愛くて、同時に羨ましく思った。


あ、違うよ?

あたしが、雅人のことが好きってわけじゃないからね!!

あたしが好きなのは、翔太だからね!


両思いになるって幸せなんだろうな、って思っただけ。


あたしは、好きって言うわけにはいかないからね…

事件が解決すれば、依頼を遂行すれば、あたしはこの学園を去ることになる。


だから、言えない。

もう、辛い思いはしたくないんだ。

それがどんな形であったとしても…


それに、あたしみたいなのが翔太と両思いになんて、なれるはずもない。



「いいよ、今度一緒に作ろう?」

「約束よ!」

「うん!」


あたし達は笑いあった。