「それと、もう一つお前に言いたいことがあるんだが」

「何でしょう?」


「先ほど、"ガーネット"の隊員達に、新たな修業メニューを追加すると言ったが、その指導係を頼む」

「あ、あたしが、ですか!?」

口がポカンと開く。


あたし?なんで、あたし!?


「お前が、"ガーネット"の中で一番強いだろう?だからだ」

さも当然というように、さらっというお父様。

後ろの蔵書の方を眺めていらっしゃる。



「そ、そうは言いましても!」

こういうのって普通は当主が…お父様がするものじゃないの!?

それに、あたし、今までにこんなことしたことがないもん!


「お前は今暇だろう?」

暇、というか…

まぁ、そうなのですが…


事実あたしが扱う魔物退治の依頼は全く来ないんだよね…

あたしが今扱っている魔物退治の依頼は、特に魔力が強かったり、倒すのが困難で厄介だったりする魔物だけなんだ。

今は特例で、ソルテリッジ魔法学園付近にでる魔物全般も退治することになっているんだけどね。

あたしの扱う魔物討伐依頼は、他の魔物討伐依頼に比べて圧倒的に少ない。そのため、他の隊員に比べて仕事の量は少ない。


「それとも何だ?私の命令が聞けないのか?」

ギロ、と冷たい目で睨まれる。


「いっいえ、滅相もございません!」

あたしが叫ぶと、お父様は視線をもとに戻した。