「はい」

きっと、お父様は、あたしの心情を理解して言ってくださったのだろう。

あの時のように、あたしが心を閉ざしてしまうことがないように―――



「お前は強くなった。あの時よりもずっとな。今のお前は、隊員達が傷つくより前に救うことができる。

…必ずな」


とても、嬉しい言葉…

涙が出そうになる。


普段のあたしなら、跳び上がって喜んだだろう。目の前に大輪のバラが咲き乱れるくらい、心が喜びで満ち溢れただろう。



でも今は…


「…そうでしょうか…」


不安しかない。

あの時の記憶が、蘇る。


『近づかないで!』

あの子の、恐怖と怒りと悲しみが合わさった瞳。


あの時みたいに、また救えないまま、失ってしまうんじゃないか、って…


「必ず、救える。

それに隊員達は相当強いはずだ。私が認めた者しかいないのだから。

それに、彼らは皆お前から離れていくことはありえない。火を見るよりも明らかだな」

お父様の言葉が心強い。


…そうだ。

皆は、"ガーネット"の隊員達は、強く優しい。

それは、皆が知っていること。


あたしの能力を知っていても、普通に接してくれる。

どんなことが起きても絶対に離れて行ったりしない、裏切ったりしない、あたしの大事な、仲間―――