「バーカ」

額に軽く痛みが走る。

デコピンされたらしい。


隣を見てみると、少し怒ったような雅人がいた。


「どうしたんだ?」

「別に……」


ムスっとしている雅人は一向に俺と目線を合わせようとしない。


…フーン、そういうことか。


「…ヤキモチ?」

雅人にしか聞こえない音量で笑ってやった。


「な!?違っ!!」

ボっと音を立てるように雅人は顔を真っ赤にした。


「美玲の可愛い笑顔が俺に向けられたから、妬いたんだろ?」

「なっ何言ってんだ!?大体俺はな…」


雅人は、ああだこうだと真っ赤な顔で一生懸命に言い訳を始めた。


俺はそんな雅人を微笑ましく思った。

それと同時に、こんな風にただ真っ直ぐに美玲が好きな雅人を本当に凄いと思った。



すると、

「どうかしたの?」

キョトンとした由良がいつも通りの天然を発揮する。

俺は何食わぬ顔で答えてやる。


「あぁ、それは、雅人が…」

「何でもねぇよ!」


ヤキモチ妬いたんだ、と言おうとしたところで、雅人が叫んだ。



そんな俺らのやり取りをみて、由良は不思議そうに首を傾げた。