由良はというと、サファイアの発した言葉に動揺することもなかった。

「名乗って」

凛としたその雰囲気からは威厳さえも感じ取れる。


凄い…

やはり世界一の魔物退治屋である"ガーネット"なだけあって、こういう状況には慣れてるのか…?


「……我は"サファイア"を創りし者…」


「「!?」」

「……」


美玲と雅人は驚きのあまり声も出せない様子だ。

だが、なぜか由良は表情一つ崩さず、冷静だった。


「我はお前を殺す」

「俺」はニタ、と笑う。


気味が悪い、と率直に思った。


やばい…

コイツ、まじで由良を殺す気だ…



サファイアは、みんなが俺のために作ってくれた誕生日ケーキを切り取るために置いてあった包丁に手をのばす。


まさか…!


由良、ヤバイから早く逃げろ…!


だが、俺の願いは届かなかった。



美玲と雅人の悲鳴が部屋に響く。










「俺」は由良の腹部を刺した――――――