『殺せ…』

嫌だ。

誰がするかっつーの。


そう思うと、なぜか、頭痛が酷くなる。


なぜか、じゃないな。

俺の中にいる、サファイアの霊のせいだ。


『そうか…ならば…』


やばい!

本能的に悟った。


『…我が、お前の身体を乗っ取り、神崎由良を殺す』


なっ!?


痛みは酷くなり、もう前を向いていられなくなった。

痛みに歪むかもしれない顔を隠すため、俺は口元を押さえる。


「翔太?どうしたの?」

由良が心配そうに尋ねる。



『ほう…そこにいるのか…神崎由良は…』



コイツ、やばい。

本当に由良を攻撃するつもりだ!



「おいおい、翔太ーお前、泣いてんのか?」

雅人はケラケラと笑っている。


「ち、違う…」

俺は痛む身体から必死に言葉を絞り出した。



「え?」


「由良…ヤバいから逃げ…」

「え?翔太?」