「相変わらず泣き虫だけどな」

「…うるさい」

すっかり元気になったバカ王子は、いつものようにあたしをからかいだした。


「何も言わないってことは、認めるんだな?」

「認めないもん。バカ翔太」

「へー?俺にそんなこと言ってもいいんだ?」


寒気を感じた。

やばい気がする…っ


翔太の腕の力が更に強くなって、痛いくらいだ。


「…前言撤回、します…」

あたしは降参した。


「そう」

翔太は腕の力を弱めてあたしを解放した。

やっぱり翔太には勝てないんだよねー。すっごく悔しいけど。


あ!

ここって…クラスだよね!

すっかり忘れてた!

クラスのみんなの面前で翔太とあんなこと…恥ずかしすぎる…!


周りを見渡すと、クラスが静まり返っていた。

女の子は全員呆然としていて、なぜか男の子も全員唖然として、あたし達を見ていた。


「…だ、大丈夫かな…?」

翔太を見上げると

「大丈夫なんじゃねぇの?」

感心がまるでない。


その様子がとても翔太らしくて、あたしは少し安心した。