『いえ……本当に、私は逝きます……』

『どうして……』

翔太は驚きと悲しみが混ざったような苦しそうな表情をした。


『寿命、ですよ…』

ソフィア様は優しそうな穏やかな顔をしていた。


『…貴方が今苦しんでいること、分かっていました

…ごめんなさい…

何もすることができなくて……』


『分かってた、のか…?』

翔太は目を見開いた。

ソフィア様は申し訳なさそうな顔をしていた。


『私は"サファイアの、当主です…

なので今…当主として、最期の仕事を、しましょう……』


『何言ってんだ…?』


『今の貴方や貴方の姉は、まだ、当主になる条件を満たしていない…

だから、その間の仮の当主を、貴方に…翔太にしてほしいのです…


貴方の姉が帰って来て、当主になる条件を満たしたその時に、二人で相談して、正式な当主を決めればいいですから…

それまで……"サファイア"の当主を、務めてください…』


ソフィア様は、お願いします、と頭を下げた。


『…分かりました。仮を務めましょう。

正式な当主は、また改めて決めさせていただきます』

翔太はそう言って、ソフィア様の手をしっかり握った。