これ以上、主の許可なしに部屋にいることは許されないだろう。


そう思って、そっと部屋を出た。


部屋を出る前に、あたしが汚してしまったところがないかどうか入念にチェックして…


もし汚してたり、ちょっとでも物を動かしたりしていたら、ぜーったい翔太に怒られるからね!


本当に怖いからね!


地獄かと思うほど、怖いからね!


あの睨みなんて……


想像しただけで寒気がした。


部屋をでると、あたしの身体から空気が抜けた。


ぺた、っと座り込んでしまう。


「なんか…緊張した……」


本当にそうだ。


あたしは別に盗みをしたってわけじゃない。むしろただ洗濯物を運んであげただけなのに。


あたし、本当に、どうしちゃったんだろう。


どうしてこんなに変わっちゃったんだろう。




『人と関わることが怖い』


そう思ってたのに。



翔太に会いたい。

今すぐに。


そう思ってしまう自分がいるの。


すごく傲慢だよね。欲張りだよね。分かってます。自分でも、ちゃんと。


それと部屋を出る瞬間に感じた微かな違和感。あれは何だろう…

闇系統の力にも似たあの気配。

微か過ぎて完全には分からなかったし、今はもう全く感じないんだけど…

気になるな。

でももう感じることのできない気配は辿れないし、あたしも気にしない方向でいこう。

あたしは窓の外広がる空の青を眺めた。