「翔太ね、実はお父さんもお母さんもいないのよ。

この高校にくるまで、おばあさんと二人暮らしをしてたの」


「え?」


二人暮らし、って…

「…まさか、お父さんとお母さん、もしかして…」


美玲は悲しい顔をした。


「お母さんの方は病気で亡くなっていて、お父さんは事故で亡くなっているの。

お兄さんは国王につかえていて、お城に住み込みで働いてるの。それにお姉さんは今外国で修業中なんだって。


だけど、おばあさんがちょくちょく体調を崩されるらしくて…

でもおばあさんが頼れる人は翔太しかいないんだって。


だからアイツ、たまに学校休むんだ」




あたしは、言葉がでなかった。


そんな事情があったなんて…




それに、翔太のおばあ様って、"サファイア"のご当主のソフィア様。

魔物退治屋界に欠かせない人物の一人。

いなくなったら、と考えるだけでも寒気がする。



それに、もしその方がいなくなれば、翔太は一人になってしまう。


兄弟は、いるけれど…実質的に一人だ。

王に仕える人は、王城に就職する人は、仕事以外で王城の外に出ることはできない。まして、一般人と会うなんて…一生無理だ。



「だ、大丈夫なのかな…?」


「きっと大丈夫よ。熱を出されただけだそうだから」


そう聞いてちょっとほっとした。