「本当に、大丈夫なんですか…?」


言ってから、びっくりした。

何も考えずに言葉が口から飛び出していた。


顔が青ざめていくのが自分でも分かった。


先生は俺を見て、少し悲しそうな顔をした。

「柏木さん…大丈夫です。
神崎さんは絶対に死にませんよ。

ですが、私の魔法では、一時の処置にすぎません。私の魔法は止血しかできないのです。

早く神崎さんを保健室へ運び、適切な治療をしていただきましょう」



「俺が運びます」


俺は由良を抱き上げた。

え?

こいつ軽すぎるだろ…

思わず由良をジッと見つめていると、


「「「「「キャアアア‼︎ 翔太様が女子をお姫様抱っこしてる‼︎‼︎」」」」」


女子の鬱陶(うっとう)しい悲鳴が。

ったく、うるさい。


だから女子って面倒なんだよな。


美玲と由良は、違うけど…


近くで見ると、より一層分かるが…由良は、相変わらず絶世の美女だ。


白く透き通った肌。

びっしり生えたまつ毛。

全てのパーツが綺麗に整った顔。

艶やかな黒髪。


腕も細いが、乾いた血がこびりついていた。


制服にも血が飛んでいた。



由良…


お前に一体何があったんだよ…