奥から先生らしき人物が登場した。


すらっと背が高く、その黒髪は腰のあたりまである。

黒いロング丈のワンピースに、黒いカーディガン。

黒い布で口元を隠し、占い師がつけるようなキラキラと光る宝石のネックレスを頭にかぶっている。

全身真っ黒だけど、白く透き通った肌と翡翠の瞳が美しい。

THE・美人というような女性。


こんなに綺麗だから絶対モテるんだろうなー…



「はい、では授業を始めます。号令をかけてくださる？」

「起立ー」


ガタガタっと席を立つ音がする。

かなり大きな音がする。


しかし、
翔太は起きない。

さすがに起きると思ったのに…

本当にどうしたんだろう？

病気…？まさかね。


そう思った途端不安があたしの心を支配する。


ちょっと、あたし、何を不安に思ってるの？翔太を心配してるわけ？

翔太がただ寝てるだけだよ？

何も不安に思うことはない、とあたしは強く思ってみた。

でも、不安な気持ちは拭えなくて。


いつも一緒にいるSC4だから気になるんだよね？そうなんだよね？

だから心配になるんだよね⁉︎


翔太に対するそれ以外の感情は全くないんだよね！


あたしはそう思い込もうとした。

そうすることで、自分の心を誤魔化そうとしたんだ。



でもね、もうそろそろ限界かも。

自分の心を誤魔化すことにはもう無理があるってどこかで分かっていたんだ——