「ちょ、ちょっと翔太⁉︎」

翔太の後ろを小走りでついて行く。

「あ?」

あたしの方を振り返った。


『あ?』じゃないでしょ⁉︎


「何であたしの手を掴んでるの?」

「お前が絶対迷子になるから」

「な、ならないもん!」

「いや、俺が今この手を離したら、お前は絶対に迷子になる。宣言してもいい」

「…そこまで言わなくても良くない?」

「だってそうだろ?」

「う…」

何も言えなくなる。


恥ずかしいけど、実際のところ、あたしは結構迷子になるんだ…

いや、あのね、気がついたら皆がいないな〜、みたいな!


「でも、迷子にならないように頑張るもん」

「心配なのは迷子だけじゃねぇよ」

「どういうこと?」

他に心配なことってあるかな?

ない気がするんだけど…


「…手を離したら、お前は100%ナンパされたり告白されるだろうからな」


「え?何て言ったの?」


余りにも小さな声で聞き取れなかった。


「…何でもない」

翔太はなぜか溜息をついた。