「由良は謝ることないよ?まだまだ遅刻には程遠い時間だし。
細かいことを気にする翔太が悪いのよ」

美玲が呆れたように言う。

「あ?」


美玲と翔太の言い争いが始まった。

翔太は美玲より強い魔力を持っているんだけど、美玲との口喧嘩では美玲に勝ったところを見たことがない。

だから今回も勝つのは美玲だろうな。


まあ、いつも何の話で口喧嘩してるかは分からないんだけどね。


「翔太…由良が可愛くてたまらないんでしょ?」

「あーなるほど。お前そういうことか」

「……」

「何も言わないってことは…やっぱりそういうことなのね?」

「お前顔真っ赤だな!」

「うるさい」


翔太の声で我に返った。

「…何がうるさいの?」

すっかり回想モードに入ってて、話を全然聞いてなかった。


「……根っからの天然だな」

雅人が真顔で言った。

「天然って…何が?」

あたしは首を傾ける。

「……手強そうね?」

「……上等だ」


「??」

美玲と翔太の話すことは、あたしにはさっぱり分からなかった。