「あ、すまない!」

翔太はパッと離れた。

翔太が離れたことに少し寂しいと思ってしまった自分に驚く。


「心配かけてごめんね。でももう怪我はしないから」

あたしは微笑んだ。


「どうだろうな?お前はバカだから」

「バカじゃないって明日のテストで証明するもん!」

「へー?それは楽しみだな」

翔太はフッと笑った。

あたしもそれにつられて笑った。


いつもはイライラする翔太の小言も今日は気にならなかった。



あたし、どうしたんだろう…?


あたし変になっちゃったのかな?



いや……


何となくは分かってる。



この気持ちの正体が何なのか。




でも、分かりたくないんだ。



認めたくないんだ。




だって、この気持ちを認めた瞬間、


あたしがあたしでなくなりそうで









––––––怖いんだ