「今から手当てするから」


予想外なことを翔太は言った。

それもまた、真剣な顔で。


「え?いや、自分でやるからいいよ。それに明日はテストでしょ?勉強しなよ!」

「いいから」

翔太はそう言った。


「"ウォーター"」

翔太は杖を洗面器に向かって振った。

たちまち洗面器は水で満たされた。


そしてあたしの腕に向かって杖を振る。

「"ヒーリング"」

あたしの腕は暖かく優しい光に包まれた。

光がなくなったところで腕をみると、傷口は綺麗に塞がっていて、少し黒ずんだ血液だけが皮膚の上にこびりついていた。


翔太はタオルを水で濡らしてあたしの腕を優しく拭いた。


「これで大丈夫だと思うが…痛くないか?」


正直、驚いた…

こんなに手際良く手当てしてくれるなんて…


「由良?」

「あ、うん!大丈夫だよ、ありがとう!」


改めて翔太が手当てしてくれた腕をみた。

傷痕は全く残っておらず、完全に元通りになっている。


魔法でここまで治せるなんてすごい。

それにあの手際の良さ。


「ほんと翔太って凄いね!全然傷痕残ってないよ」

「そうか。良かったな」

翔太は優しく微笑んだ。


いっつもバカって言うけど、本当は優しくていい人なんだね…