『貴方がボスなのね?』

あたしはそう尋ねたが、

『何しに来た。我が問いに答えよ』

どうやら名乗る気はないらしい。まぁ、いいけどね。


『今日は交渉しに来たの』

『断る』

即答ですか。

『お前達人間の話など聞かん』

それなら、強行作戦で行っちゃおう。


『こういうのはどう?あたし達人間も貴方達と関わらないから、貴方たちも人間を襲うことをやめる。いいアイディアだと思わない?』

すると、それはならぬ、という答えが返ってきた。

『人間は我らの食の一部。やめることなど一切考えない。それに、ここの近くには若くて美味しそうな人間の肉が多くあるからな…』

『…学園の生徒を狙う気?』

『それがどうした?』

巨大コウモリはニヤっと笑った。


可笑しい。ここまでデビル・バットが強気で出るなんて前代未聞だ。

何があったか知らないが、学園の生徒を狙う気なら…あたしは容赦しない。


『……今なら許してあげる。決意を変えるなら今よ』

『変える気など更々ない』

いつになく強気なデビル・バット。


『そう。…それなら……』

あたしは杖を構える。


『何をする気だ!?よ、よせ!』

あたしがこれから何をするのかを悟ったのか、コウモリのボスは慌て出す。


『もう遅い…さっき『変えるなら今』って言ってあげたじゃない』

あたしは呆れ気味に笑った。

みんなを傷つける気なら問答無用。


「"ホーリーレイ"」

洞窟内が明るく神聖な光で満ち溢れる。


それと同時に、デビル・バット達の悲痛な叫び声も聞こえてきた。