洞窟の中を杖の灯りを頼りに進む。

時々バサバサっとコウモリが羽ばたく音がする。

ビクっと肩が上下に動く。


やっぱり、怖い―――!!


すると不意に声が聞こえた。


『……何者だ……』

聞こえた、というよりは頭の中に声が響いてる。

これは多分きっと、デビル・バットのテレパシー。

『…貴方如きに教える必要などない。だって貴方は下っ端だもん。違う?』

『………』


言葉が途切れたってことは当たりなんだね。

あーもう。あたしは早く仕事を済ませたいのに…


『我が問いに答えよ…お前は何者だ……』

あーあ。名乗らずに済まそうと思ったのに。しょうがないな。


『……"ガーネット"と言えばわかる?』

その瞬間、デビル・バットは慌て出した。

『なんだと!?"ガーネット"が何しに来た!?』

『交渉しに来たのよ。…さあ、ボスを出してもらいましょうか』

あたしは早く帰りたいの!と心の中で大絶叫。一刻も早く帰りたいと心の底から思う。



『……"ガーネット"が我に何の用だ?』

また1段と低い声が頭に響く。


どのコウモリの声かと周りを見渡す。


杖の光に照らされた、大きな物体…

大きさは縦1メートル、翼を広げたら5,6メートルはありそうな巨大なコウモリだ。

そのほかの大勢のコウモリの何倍もの大きさがある。


あたしは全身に力を入れた。ここで気を失って倒れるわけにはいかないもん。

倒れるもんか、と自分自身に言い聞かせて、その巨大コウモリの目を見つめる。


うぐっ…やっぱ、気持ち悪い。