「もう6時か。由良はそろそろ学園に戻った方がよいだろう」

「はい」

もうそんな時間か…

皆に何も言わずに来たから、心配かけてるかもしれない。

こんな朝早い時間に起きているかどうかも謎だけどね。


「学園での仕事の方も頼むぞ。
…怪我をしないように頑張りなさい」

お父様は暖かい微笑みを浮かべていらっしゃる。

今日は本当に幸せ……


「…ありがとうございます」

心からそういった。


「"瞬間移動"」


あたしは目を閉じた。

突然部屋に風が吹き荒れる。














「バカかお前は!」

目を開けるよりも先に、翔太の声がする。

恐る恐る目を開ければ、そこにはお怒り状態の氷の王子様がいらっしゃった。


お父様からのお説教がなかったし、暖かいお言葉を頂けて、今日は朝から幸せだと思ったのに。

この人に怒られるとは…


「お、おはようございます…」

「のんきに挨拶してる場合じゃねぇよ!こんな朝早くにどこ行ってたんだ!?」

「え?えっとー…」


これは、さすがに言えないな。

秘密主義、守らなくちゃ。

お父様……"ガーネット"のこと、特に当主に関することは、絶対に秘密。


「お前は事情持ちだから、言いたくないことなら言わないでもいい。

でもな、心配はかけるな!」

「しゅみましぇん…」