泣くことも一段落すると、翔太が突然言った。

「お前はちゃんと皆を救えたよ」

「そんなことない」

だって、ワイバーンの長を救ってあげられなかった……


あのな、と翔太は溜息を吐いた。

「ワイバーンの長は言ったんだろ?皆が由良のことを慕ってるって」

あたしは頷いた。

「もし、お前が慕ってる奴がいて、そいつがいつまでもメソメソ泣いてたら嫌だと思わないか?」

「……うん…」

「そのワイバーンのためにもお前は笑顔でいろ。皆がお前のことが好きなんだから」


翔太の腕の力が少し強くなった。

その強さがあたしを安心させる。


翔太の言葉に、一度は引いた涙がまた出てきた。

あぁ、こんな弱くて駄目なあたしを暖かく許してくれる人がいるんだ……


「…翔太……」

「あ?」


「ありがとう……」

「…別に…」

翔太は少し照れているようだった。

仏頂面の頬に少し赤みがさした様にも見えたが、月の光の影響でそれはよく分からなかった。