あたしは深呼吸した。

「……絶対、絶対言わないでね…?」

「あぁ」

「絶対に後で忘却魔法かけるからね!」

「マジで?」

「もち」

翔太は驚いたような顔をしていたが、あんたが言ったんだからね!?

忘却魔法をかければいいってさっき言ってたからね!?


そしてあたしはポツリポツリと話し出した。


ワイバーンが 身体を乗っ取られていたこと。


ワイバーンの長が何者かによって爆発してしまったこと。

あたしがそれに気づけずにいたこと。


青い瞳の奴らのこと。



今日の仕事の出来事を全部話した。


あたしの話を翔太はただただ静かに聞いてくれた。

あたしを抱きしめたまま。


「あたし…救えなかった…

皆を必ず救うって、ワイバーンと約束したのに…

ワイバーンを…みんなのもとに、返してあげられなかった…」


涙が落ちてきた。

止まれ、と思えば思うほど、それに比例するように涙は次々と落ちてきて、翔太の服の肩の辺りに水玉模様を作った。

「…ごめっ…涙、止まらな……」

必死に笑顔を作った。

「無理して笑うな。泣け」

「でも…」

そうしたら翔太の服を汚してしまう…

「泣けばスッキリするだろ。俺以外、ここにいねぇから…俺がずっと傍にいてやるから…」


翔太の言葉がスイッチだった。

あたしは涙を流して泣いた。

翔太は黙ったままあたしの背中をさすってくれた。