「でも…」

"ガーネット"以外の者に対して、仕事の内容は絶対に秘密。

同業者なら尚更だし、"サファイア"なんてもってのほかだ。


「もちろん、この事は絶対誰にも言わねぇよ。だから安心しろ」

真剣な目であたしを見つめる。


「えっ…!?」

次の瞬間、あたしは翔太の腕の中に収まってしまった。

「ちょ、翔太⁉︎」

動揺を隠せない。

それは、いきなり抱きしめられたこともそうだけど、
それよりも驚くのは、翔太抱きしめられてどこか安心している自分がいるということ。

鼓動もいつもに比べて速い。

それも痛いくらいに鼓動を感じる。


あたし、やっぱり変だよね…?

どうしたんだろう…


「……本当に、言わない……?」

あたしはゆっくり聞いた。

「あぁ。約束する」

上のほうから翔太のはっきりとした言葉が聞こえてきた。


翔太のこと、信じてもいいよね…?

大丈夫だよね…?

「信じてもいいの…?」

「あぁ」

「本当の本当?」

「…俺、そんなに信用できない人物なのか?」

翔太は哀しく笑った。

「ち、違うけど…」

「溜め込むな。どうしても嫌だというのなら、全部吐き出した後、俺に記憶忘却魔法でもかけろ」

それで忘れさせればいいだろ?と言う彼の目は真剣そのものだった。