とりあえず、何よりも先にこの怯えている心を落ちつかせる必要がある。



「"ホーリー・ライト"」


あたしは氷に向かって言い放つ。


その瞬間、温かい光が氷を包み込んだ。




これで、落ち着いてくれればいいんだけど…


光がなくなると、ワイバーンはこちらを見ていた。

…真剣な眼差しで。


怯えている表情は一切なくなった。




『…私を氷に閉じ込めたのはお前か?』


ワイバーンの心の声が、あたしの頭に流れ込む。


これは、ワイバーンなど、魔物が使うことのできる能力の一つである"テレパシー"。

魔法が使えるあたし達人間だって、もちろん使えるんだ。

でもケータイなど電子機器の方が便利だから、最近テレパシーを使うことはめっきり少なくなったんだけどね。


『えぇ』



あたしもテレパシーで返す。



『お前も私達を攻撃するつもりか?』


真剣だった眼差しが、一気に険しくなった。


『あたしは貴方に危害を与えるつもりは一切ないわ』


真剣な目で伝える。