そんな事は、今の私にとって

どうでもいい。


大急ぎで身支度を整えて

駅に向かいながら

浮き足立っている自分。


駅に着き、


もうすぐ会える。


そんな気持ちが先走って

あの男の言った言葉を
すっかり忘れてしまっていた。


「君、身分証とか持ってるかな?」


私の前に現れたのは

あの男ではなく

おまわりさんという人間。


「え、あ・・・その・・・」


「年齢聞いてもいいかな?」



これじゃ・・・

会えるどころか、

補導されて会えなくなってしまう・・・



やばい、非常にやばい。


そんな、窮地に立たされている私に

手を差し伸べたのは・・・


「妹が何か?」

あの男だった。


「君、お兄さん?」

「そうスけど?」

「身分証見せてくれる?」


やはり窮地に立たされた・・・。