Street Ball

フェンスの一番前に、少し窶(やつ)れた様子の翠が居た。


その姿を見ただけで、心の中の罪悪感を揺れ動かされたが、その後は段々と気持ちが落ち着いていく。


決勝という事で、一段とボリュームを響かせているDJブース。


試合前の気持ちを高ぶらせていくような曲を聴きながら、俺はロンの姿を探した。


俺が言う事を聞くか、見届けに来ている筈だ。


だが、何処を見渡してもロンの姿は無かった。


先にコートへ入っていた[REEF]の三人も、シュート練習すらしていない。



変だ…今日の試合は、何か変だ。


フェンスに刺さった賭け金を、何時もどおりに回収している[BUZZ]の兵隊を捕まえた。


突然肩を掴まれ、驚いた表情を隠せない回収係。


「おい、ロンは?」


「なんだお前かよ。今日はロンさんの言ったとおりにやれよ。」