[SB]のコートで行われている賭けバスケ…Street Ball。


[BUZZ]のロン。


泰二でも鉄でも翠でもなく、ましてや対戦相手である[REEF]のアキでもない奴。


それ等を排除いくと、一からの説明が必要ない該当者は、一人しか居なかった。


[SB]の店長である富さん。


どうせ興味もなく、雑誌から視線を外さずに聞くのだろうが、誰かに聞いて貰うだけでも何かが変わると思った。


そう、信じたかった。


悩みに明け暮れている時なんて、そう思い込んでしまうのかもしれない。


富さんに耳だけ貸して貰う為、コートの使用時間より早く家を出た。


熱せられたアスファルトで、バッシュのソールが溶けてしまいそうな中、[SB]へ向かって歩く。


[SB]まで、あと数メートルという所まで来ると、店内から叫びに似た大声が聞こえてきた。


「マジで言ってんのかよ富さん!なぁ!」