「大した事無いよ。一度話してみたかっただけらしい。ほら、[REEF]は[BUZZ]のお抱えチームみたいな所有るだろ?決勝の様子見みたいなもんじゃないか?」


「ふ〜ん…[BUZZ]の大将もセコい奴だな。」


セコいってのは当たってる。


「それでさ、明日から泰二の家で練習するの休むわ。決勝までの四日間は体調管理に専念したいんだ。」


明日明後日にでもこの顔を見られたら、一度話してみたかったらしいって嘘は、いとも簡単にバレてしまう。


泰二の家に行ける筈がない。


「それでボールの感触を忘れないってんなら良いけど。」


「四日ぐらい大丈夫だって。じゃ、これから用事有るから切るぞ。」


僅かな不満が残っているような泰二だったが、それで通話を終了させた。


やっぱり、二人には言えない。


改めてそう思わせるには、十分すぎた電話だった。


四方八方を取り囲まれ、逃げ場を失った気分のまま、再び思惑の海に潜っていく。