Street Ball

「それで?[BUZZ]の大将は何の用だったんだ?」


「…あのな、泰二…。」


此処で正直に話すか否か。


言うなら、碧の事を含めて全て言うつもりだった。


躊躇っていると、電話の向こうが騒がしくなり、泰二と電話を奪おうとしている鉄の声が入り交じる。


「足の方はもう良いのか?来週はいよいよ決勝なんだから、頼むぜ夏目!」


泰二から力業で携帯を奪い取った鉄の声が、鼓膜に響く。


足か…寝ていないから怠さは残っているものの、痛みは殆ど無かった。


と言うより、すっかり忘れていたと言った方が正しいかもしれない。


「足なら大丈夫だ。全然問題無し。」


「ったくバカ鉄が!大事な話してんだよ。で、[BUZZ]の大将はなんて言ってたんだ?」


言えない。鉄の様子を聞いた今なら、尚更言えなくなった。