Street Ball

悩みで眠りの時間はどんどん削られていく。


磨り硝子は白から青、青から橙、そして黒へと写り込む色を変化させていった。


泰二と鉄からの不在着信は、既に十件は越えているだろう。


勝ち続けた事が徒になるなんて…。


いや、違うな。


全ては俺が招き入れた事だ。


流石にそろそろ電話に出ないと、家にまで来られてしまうかもしれない。


答えの出ない内は、二人と顔を合わせるのが辛い。


鳴る携帯を手に取り、泰二からの着信に出た。


「お、やっと出た。昨日は大丈夫だったのか?電話に出ないから、何か有ったのかって心配してたんだぞ。」


「ハハ…悪ぃ。帰ってから疲れて寝てたわ。」


無理して笑った時に、くっつき始めていた傷が開き、思わず言葉に詰まって顔を顰(しか)めた。