Street Ball

先に掴みかかってきたのは、俺に恨みが有ると見える右側のスキンヘッド。


ロンのにやけ面を見てからだと、どうしても素直に答える気にはなれなかった。


「止めろ。まぁ、その事は後でも良い。先ずはビジネスの話しだ。」


苦々しい表情で俺の首元から手を離すと、スキンヘッドは元居た位置に戻っていった。


馬鹿力で締め付けられた首を撫でながら、ロンに聞き返した。


「ビジネス？」


「そうだ。次の決勝で負けてくれ。万が一にでも［ＲＥＥＦ］が負ける事は無いと思うが、万が一が起こった時の保険みたいなもんだ。」


ロンが何を言わんとしているのか、今一つ分からない。


普通に考えたら、幾ら［ＨＥＡＴ］の人気が出てきているとは言え、［ＲＥＥＦ］の方が人気は高い筈。


ギャラリーとしては、今まで圧倒的な強さで王者に君臨している、［ＲＥＥＦ］に賭ける奴が多いに決まってる。


［ＲＥＥＦ］が勝った方が払い戻しが少なくて済む分、儲けも少ない。


［ＨＥＡＴ］が勝った方が払い戻し額は多くなるが、その分儲けも増える。


そんな事、誰だって考えられると思うが…。