Street Ball

俺を連れてきたボディーピアスの男が、ロンの元まで歩いていって何か耳打ちしている。


ヘッドライトの明かりも押さえられ、瞳も徐々にその中に慣れてきた。


ベージュの革パンツに合わせた革靴、真っ白なポロシャツの上には、自らの力を誇示するようなクラウンのネックレス。


「こっちへ来い。」


こういうシチュエーションを好む所も気に入らないが、そのファッションセンスだけは対したものだと思う。


指図されたとおり、一歩ずつ歩を進めていく。


ロンの両脇には、鉄より一回り大きくしたスキンヘッドの巨躯。


右側に居たのは、俺が初めてStreet Ballの試合に出た時、[SB]へ向かうのを止めた男だった。


俺にガキは帰れと言った、気にくわない奴。


「俺に呼ばれた理由は分かっているだろう?」


スキンヘッドの巨躯から、再びロンに視線を移す。


ハーフタイムの時に見せていた射るような視線は消え、余裕を見せるにやけ面になっていた。


「分からない…と言ったら?」