Street Ball

バスケ以外には熱くなれず、暇な高校生活の中で燻っていた。


やっと見つけたこの場所。


その舞台から降りるつもりは、微塵もない。


将来の事なんて考える暇がない程、今はこの場所で出来るバスケ、Street Ballを思う存分楽しんでいたい。


「タイムアウト取ってくれてありがとな泰二。お陰で目が覚めた。」


真剣な顔付きから、ふっと力を抜いた泰二は、何時ものクールな表情に戻った。


「エースの座を譲ったんだから、中途半端なプレーをしたらこれからも厳しく言ってくからな。」


これからも…という言葉が、心地良かった。


「痛っ。」


対して痛くはなかったけど、咄嗟に言葉が口を突いた。


泰二に言いたかった事を全て言われ、何も言う事がなくなった鉄が、右肩に軽くパンチを当ててくる。


その大きな拳から、笑みを零す表情から、言いたい事は全て伝わってきた。