Street Ball

「泰二、ちょっと言い過ぎだろ!お前がスランプになった時は、夏目が負担を軽くしてくれたのを忘れたのか?」


鉄のカバーに、少しだけ救われた気分だった。


「勿論忘れてないさ。でも、今はそう言う問題じゃない。」


俺を挟んで対峙している二人。


鉄が負けじと食い下がろうとする。


「それなら…。」


「今日まで四試合このチームで勝ってきた。その前は敵同士…正直、敵同士だった時は、鉄も夏目には負けないプレイヤーだって自信が有ったろ?だから最初の方は自分の力を見せつけようと、チームプレーの中にも誇示が有った。」


鉄の言葉を遮った泰二が、更に言葉を続ける。


「試合を重ねる毎に気付かされた。敵の作戦を見破るのは夏目。妙案を出してチームを救うのも夏目。流れを引き寄せるプレーをするのも夏目だ。間違いなくこのチームの、[HEAT]の主軸は夏目なんだよ。」


心の奥底から吐き出されるような泰二の言葉が、責任感を刺激する。


役目を果たせていない自分が、二人に対して申し訳ない気持ちを増幅させていく。