Street Ball

シザースプレーも、一連の流れが決まっているセットプレー。


そんなセットプレーだけに、シュートを決められなかったのは痛い。


それを隠せずに、落胆の色が表情に浮かぶ。


オフェンスに戻る前に、DJブースからタイムアウトのコール。


俺は取ってないし、相手チームだって、わざわざ流れを断ち切るような真似はしないだろう。


タイムアウトを告げたのは、泰二だった。


試合開始数分で、流れを持って行かれた重い気持ちを引きずりながら、コートの端に歩いていく。


異様な熱気に包まれ、普段なら未だ感じない疲労感が、両肩に重くのし掛かる。


「夏目、プレーに迷いが有るだろ?カットされた時と良い、シザースの時と良い、らしくないぞ。」


直ぐ様、泰二に反論しようとしたが口を噤んだ。


確かにどちらのプレーでも、一瞬の迷いが生じたのは確かだった。


スランプに陥る寸前なのかも知れないと、認めざるを得なかった。


こういう自信に欠けたプレーの積み重ねがスランプを招く事は、これまでにバスケをしてきて学んでいる。