Street Ball

リバウンドを取った長髪は、3Pラインの外に居るタンクトップへボールを戻した。


俺と泰二の居るゴール下の混戦で、一番近い場所に居た鉄が、タンクトップのシュートチェックに向かう。


スローなシュートモーションで鉄を誘い、ブロックに来た所で左サイド下へバウンドパス。


俺が不味いと感じた時には、3Pライン上に抜けた長髪にパスが通った後だった。


流れる汗も構わず、綺麗なシュートモーションから3P。


シュートを放った時に、長髪の顎先から汗が一粒零れた。


リングに掠る事無く、ボールは鎖のネットに突き刺さる。


泰二のように、緩やかな曲線を描く3Pシュートとは、明らかに質が違う。


頂点に辿り着いたボールは、重力に促されるように一気に下降していく。


突き刺さるという表現が、ピタリと当てはまるシュートだった。


5対0。


点差を付けられないようにと行ったシザースプレーだったが、見事に目論見が外れた。