Street Ball

ディフェンスが後ろを付いてくる中、鉄からボールを手渡された。


シザースプレーだと見抜き、距離を空けていた和志がブロックに来る。


威圧感たっぷりの両腕を前にして、泰二へパスを出すか迷いが生じた。


迷いを振り切り、ループ気味に放ったシュートは、リングの奥に当たって上空へバウンドする。


俺の着地より早く、シュートが外れたと見切った泰二がリバウンドに飛ぶ。


俺がコートへ着地すると、後ろから一陣の風が吹いた。


風は泰二が掴もうとしていたボールをかっさらい、空中で泰二の身体を弾き飛ばした。


その姿は、地上に獲物を見つけた鷹の如く。


一点だけを見据え、それだけに意識を注ぐ。


一羽の鷹は、獲物を我が物にすると、羽を休めるようにゆっくりコートへ降り立った。


［ＲＥＥＦ］と決勝で当たるには、このチームを倒さなければならない。


そしてその前に、間違いなくこのチームのエースである、一羽の鷹を思わせる長髪を倒さなければならないのか…。