Street Ball

フェンスに刺さった賭け金を回収し、DJブースからコールが響く。


俺の前に現れたのは、長髪を後ろで結った男。


一見すると細身だが、ワイヤーを幾重にも絞り上げたような筋肉が、色褪せた水色のTシャツから覗く。


腰を下げ、絶妙な距離を空けてディフェンスしてくる。


泰二の言うとおり、手強そうな相手だ。


肌に張り付くような、白のタンクトップを着たディフェンスを、泰二が軽やかなドリブルで左右に揺すっている。


しかし、それに惑わされる事無く、タンクトップを着た男はボールの動きに慎重だった。


隙あらばカットしてやろうと、猫科を思わせるしなやかな腕を出していく。


泰二が持ち堪えられなくなるのを見越し、3Pラインより更に外へ出てパスを貰う。


リングから離れているといっても、絶妙な位置取りを保つ長髪。


大きく左足を一歩だけ前に出して距離を空けようとするが、それにもしつこく対応してくる。