人に注目されるのは嬉しいけど、少し恥ずかしさも有る。


かけられた声に適当な返事を返し、[SB]の自動扉を開いた。


湿り気を含んだ夏の風とは違い、店内は澄み切ったように涼しい。


コートへ抜ける時に、レジ横の壁に掛けられたホワイトボードを目にした。


勝敗予想は6対4。


敗者復活戦第一試合から、ずっと勝敗予想が1だった[HEAT]。


一種の、人気を調べるバロメーター代わりも兼ねているのかもしれない。


[REEF]の下に、ずっと9と書かれている数字を目にし、其処から先を考えるのは止めた。


「うぃ〜す富さん。」


「お、まぁ頑張れよ。」


形だけの挨拶を交わし、コートへのドアを開いた。


今か今かと試合が始まるのを待っているコートは、足を踏み入れただけで額に汗が滲んだ。