Street Ball

「ロン?」


磨かれて光を放つシンクに手をつき、碧の方を見ず尋ねた。


静寂が支配する早朝。


中々言葉を発しない碧に耐えきれなくなったのか、壁掛け時計の針の音が響く。


「…え、えぇ。」


動き出す動作に合わせて頷き、リビングに向かって歩き出した。


何も聞く事なんてない。


碧と出会った時から、ロンの存在は有った。


そんな事を承知の上で、こうして関係を持ったのだから。


心は惹かれても、碧との距離を無理に縮めようとしないのは、ロンの存在が有ったからかもしれない。


求めさすらって辿り着いたこの場所も、俺の居場所ではなく仮住まいと言った所か…。


ベットに腰掛け、何処に向かえば良いのかと頭を悩ませる。


高校を辞めてから、俺は何をしてるんだか。