コートの中は、熱を帯びていくプレーで暑く感じる。


[SB]の店内は、汗を掻いた肌には冷房が寒かった。


そして、コートと同じ筈の外なのに、漂う空気はどんよりと重い。


コート、店内、外と、隔てているのはドアと扉だけだが、それぞれの空気が有る。


「お、来た来た。この子達が遊びに行こうって言ってるんだけど、夏目も行くよな?」


鉄の背後に、思い思いに肌を露出させた女が三人立っていた。


「バカ!翠ちゃんが居るんだから、夏目を誘うなよ。」


後頭部を泰二に叩かれた鉄は、キョロキョロと視線だけを動かして辺りを見渡している。


その姿に、苦笑いだけが漏れた。


「あれ?翠ちゃん居なくないか?」


目だけでは足りずに、首を流浪させる鉄に釣られ、俺も辺りを見渡してみる。


辺りには、ナンパに励む[BUZZ]の兵隊や、何かを売ろうとしている売人、それを待っているギャラリーの姿しかない。