「おい、聞いた?聞いたかよ?俺達ダークホースだってよ!」


流れる汗もそのままに、鉄が嬉しそうに近寄ってくる。


…まったく。


「鉄、ダークホースってのはな、ギャラリーが圧倒的に強いと思ってる、[REEF]が存在しなきゃ成立しない言葉だぞ。」


ポカンと宙を眺め、俺の言葉を理解しようとしている鉄の姿が笑える。


「で、でもよ、俺達の力が認められ始めたって事でも有るよな?な?プラス思考でいこうぜ。」


プラス思考って言うより、鉄は楽天的の方が似合ってると思うけど…。


「ま、鉄の言うプラス思考で考えれば、そんなに嫌じゃないだろ夏目。」


「なんか引っかかる言われ方だけど…ま、いっか。」


三人の笑い声が、夜空へ吸い込まれていく。


試合に勝った事で、皆の気持ちが昂揚している証拠だった。



本線第一試合、38対59で[HEAT]勝利。