冷やす食材の無い冷蔵庫には、丸いお握りが二つ入っていた。


幼い頃から、夕飯は一人で食べている。


お袋が出勤前に作って行ってくれるおかずは、すべて簡単な物ばかり。


だが、此処まで簡素な物は初めてで、此処でもお袋の怒りを感じ取る。


もう何年使っているのか分からないコップに麦茶を注ぎ、一気に飲み干した。


麦茶を冷蔵庫に戻して家を出る。


お袋には悪いが、今の俺の胸は期待と興奮で一杯だ。