Street Ball

動きがあったのは、その直後だった。


未だ泰二がボールを持ってもいないのに、銀髪が俺のディフェンスに付いた。


その光景に、俺と鉄は困惑しながらもオフェンスへ移る。


右サイドに戻って泰二を見ると、苦々しい顔をしていた。


泰二のドリブルが始まると、銀髪は俺の顔を見つめながらディフェンスしてくる。


普通のディフェンスなら、まずこうはならない。


どちらのサイドに居るかによるが、半身はボールマンからのパスカット出来る体勢で構え、もう半分はマークしている人物の動きをチェックする。


瞳の両端を使って、同時に二人の人間の動きを見るのが、普通のディフェンスだ。


そのセオリーを無視し、完全に泰二に背中を向けて、銀髪はディフェンスしてくる。


フェイスガードと呼ばれるディフェンス方法だ。


泰二からのパスが鉄へ渡り、少し厳しく思える左サイドのギリギリに、鉄はパスを出した。


それをなんとか拾った泰二が、勢いに流れる身体もそのままに３Ｐシュートを放つ。