Street Ball

レイアップのフェイクを入れなければ、ただのバックシュート。


フェイクを挟んだコレは、ダブルクラッチのリバース。


この分なら、泰二の杞憂はそのままで終わりそうだ。


攻守が入れ替わり、茶坊主から俺のマークしている銀髪にパスが届く。


両サイドは五分まで刈り込み、モヒカンを伸ばして後ろで束ねている。


フェイクを仕掛けてくる度、後ろで結んだ髪が一瞬遅れて左右に振られる。


鋭いドライブから急停止し、ゴール下の坊主頭へのパス。


パスを貰った坊主頭は、不用意に前方へボールを零した。


取れると思って手を伸ばした瞬間、茶坊主がそれをかっさらっていった。


それを待っていたかのように、坊主頭は鉄を連れて逆のゴール下にポジションを移している。


遅れてきた突風が目の前を通り過ぎた時には、ネットを通ったボールがコートを跳ねていた、


2対2。