割られている街灯を良い事に、それは多数見られた。


それを横目に、[SB]の中へと入っていく。


試合に出ないと、こんな一面も目にするのか…。


コートと店内を分けるドアの前で、鉄がガラス越しにコートを眺めていた。


「場所取りお疲れ。」


鉄の高い肩に手を回し、試合開始直前のコートに視線を送る。


「相手チームに同情して、千円だけ賭けちまったよ俺。」


試合開始前から、相手チームが浮き足立っているのが分かる。


ギャラリーが醸し出す熱を帯びた空気と、[REEF]の面々が持つ雰囲気に、相手チームは完全に飲まれていた。


この様子じゃ、大穴が来る可能性は0に等しいぞ鉄。


俺の隣から泰二が覗き、翠が下の方から顔を出した事により、ドアにはまった小さなガラスは、四人の顔で埋め尽くされた。


それと同時に、DJブースから試合開始のコールが響く。