最前列のギャラリーは、[SB]の店内から出てきた[REEF]の姿を見つけると、狂ったようにテンションを上げ始めた。


それと共に、DJブースからもアップテンポな曲が流れてくる。



我先にとフェンスに賭け金を突っ込むギャラリー。


一番最後にアキが顔を出すと、辺りの空気が数度以上上がったのを、確かに肌で感じた。


中には、自分の履いていたショーツをフェンスに突っ込む女まで居る。


「これじゃ、相手チームが可哀想だな。」


[SB]の自動扉から、熱狂するギャラリーに呆れ顔の泰二が顔を出した。


「賭けの比率はどうなってるんだ?」


「9対1で[REEF]だ。鉄も中に居るから、中で見ようぜ。外よりは静かだしな。」


本戦出場チームでも、相手が[REEF]では、賭け比率が9対1か…。


泰二に促され、翠と店内に入っていこうとすると、コートとは反対側の暗がりに人の気配がした。


一目で[BUZZ]の兵隊と分かる男が、何かが入ったタバコの箱を、数枚の札と交換している。