Street Ball

思ってもみなかったアルコール度の高さに、咽せそうになるのを必死で我慢した。


「キツいでしょ?此処に置いてあるジンは、度数が高いのよ。」


その言葉を証明するように、男性がジンのボトルに張られたラベルを見せてくれた。


アルコール度数57って…。


だが口の中に嫌な感じは残らず、気付けばもう一口含んでいた。


「まさか本当に電話をくれるとは思わなかったわ。」


「ちょっと待った。俺は未だ名前も聞いてないんだけど。」


俺の言葉を受けて、女性は微笑ではなく、初めて笑顔を見せた。


「フフ。そう言えば私だけ知ってたのよね。碧(あおい)よ。」


長い睫毛の下、アーモンド型の大きな瞳に俺が映っている。


身体を正面に戻すと、生まれた隙間を埋めるように、碧は身体を寄せてきた。


先に来てどれ程呑んでいたのか分からないが、服を通して熱が伝わってくる。