Street Ball

薄暗く点滅している街灯を過ぎ、ポケットから携帯を取り出す。


闇を切り取るディスプレイの光に目を細めながら、時間丁度だと確認する。


据えた臭いのする溝に、吸いかけのスピリットを捨てた。


この数日の晴天続きで、すっかり水分を失ってしまった溝が、それをキャッチした。


エレベーター前の案内看板で、[エデン]が五階だと確かめてから乗り込んだ。


揺れるエレベーターの中で、身形の最終チェックに入る。


足下は何時ものバッシュではなく、俺にしては珍しい革靴。


履き慣れていないから、なんだか足下が落ち着かない気がする。


控えめなダメージ加工の黒デニムに、シンプルな白いTシャツを合わせ、薄手のシャツを羽織った。


首と手首には、高校に通わなくなってから身に付けていなかった、彫りが同じネックとブレス。


あの女性に合わせようと、少しでも背伸びする事に必死な自分に苦笑いが漏れる。