Street Ball

自分に中国人の血が入ってる事を隠すようになったのは、何時からだっただろうか…。


その事に対して、負い目は無い。


それはお袋を否定する事と同じだから、負い目なんて一つも無いんだ。


日本で生まれた俺は、中国なんて雑誌やテレビでしか見た事が無い。


中国人を疎んずる気持ちも無ければ、尊敬もしていない。


勿論、俺を育ててくれたお袋の事は尊敬もしている。


俺が言ってるのは、それ以外の中国人だ。


俺の目に映る中国人は、日本人と変わりなく他人。


そう、他人なんだ。


はっきりとは思い出せないが、中国人という事を隠すようになったのは、やっぱり小学校に入ってからだったと思う。


誰だって、自分から虐められる原因を話したくはないだろう。


まぁそれも、一度軽く虐められ後に学習した事だけど…。


そんな自問自答を繰り返しながら、泰二の家から駅までの道程を歩いた。


泰二達に吐いた嘘を本当にする為、翠に電話をしようと携帯を取り出すと、一枚の紙切れが一緒に出てきて道路へと舞った。